薬剤師のみなさん、単発の仕事をしたことがありますか?

単発バイトって気になるけれど、結局自分がやってみるまでには行動できていない。どんな感じなんだろう?
私も、始めるまではずっとそう思っていました。
いまは調剤薬局に正社員として勤めながら、
月に1〜2回、他の薬局で単発の仕事をしています。
ここで言う「単発」は1日単位で入る仕事のこと。
長期の派遣とは別で、今の職場にプラスαで働いています。
薬剤師の副業としては、いちばん現実的な方法だと思っています。
そしてもうひとつ。
本業の職場では、単発で来てくれる薬剤師さんを迎える側でもあります。



行く側と、迎える側。その両方から見てきました。
この記事に書いたのは、この4つです。
・単発で働く方法は2つあること。そして人によって選べる道が違うこと
・初日に何をするのか
・迎える側から見て「また来てほしい」と思うのはどんな人か
・初めてが不安な人へ。私が一番こわかったこと
旅行代が欲しかった。でも今の職場は辞めたくない


私個人の話になってしまいますが、
副業で稼いで、旅行代くらいのお小遣いが欲しかった。
単発の仕事をやろうと思った理由は、それだけです。



副業ブームを感じているけれど、薬剤師の副業って何ができるんだろう?
でも、今の職場を辞める気はありませんでした。
子育て中で、まとまった時間も取れません。
副業をいろいろ考えてはみたんです。
でも、せどりは在庫の管理が大変です。
ハンドメイドは作る時間がない。
ブログは——いま書いているのがこれなのですが、
正直に言うと時間がかかります。
今年の旅行代には間に合いません。
残った条件は、この3つでした。
・今の職場を辞めなくていい
・準備がいらない
・その日のうちに終わる



答えは、薬剤師の資格を武器にすることでした。
全部あてはまったのが、単発の薬剤師の仕事でした。
薬剤師が単発で働く方法は2つある


これは意外と知られていないのですが、
単発には入口が2つあります。
契約の形が違うので、働ける条件も変わってきます。
① 単発派遣(派遣会社を通す)
派遣会社に登録して、派遣先の薬局で働く形です。
アプロ・ドットコム、ヤクジョブ、ファル・メイト、ファルマスタッフなどがこちらにあたります。



ただし、この方法には働ける人の条件があります。
日雇い派遣(30日以内の契約)は原則として禁止されていて、
例外として次のいずれかに該当する人だけが働けます。
・生業収入500万円以上……主たる業務の年間収入が500万円以上(=副業として働く場合)
・世帯収入500万円以上……生計を一にしている家族全員の年間収入の合計が500万円以上で、
かつ自分の収入が占める割合が50%未満
・60歳以上
・雇用保険の適用を受けない学生(昼間学生)
ここでいう年間収入は、前年の1月から12月に実際に得た収入です。



分かりにくいのが2つ目の世帯収入500万以上の部分だと思うので、例を挙げてみましょう。
・夫600万円/妻はパートで100万円(妻の割合14%)→ 該当します
・夫300万円/妻250万円(妻の割合45%)→ 該当します
・夫250万円/妻300万円(妻の割合55%)→ 該当しません
ポイントは「自分が主たる生計者かどうか」という感覚ではなく、
世帯の年収が500万円以上あるか/自分の収入がその半分未満かという数字だということ。
自分で計算できます。
細かい条件が気になる方は、厚生労働省の「労働者派遣法改正法Q&A」にも目を通してみてください。
条件はありますが、該当する薬剤師さんは多いと思います。
あまり身構えなくて大丈夫です。
② 直接雇用のアプリ
派遣会社を通さず、薬局と直接、日雇契約を結ぶ形です。
カイテク薬剤師や、薬キャリSpot(エムスリー)がこちらです。



派遣ではないので、条件の縛りは無しです。
カイテクは全国対応で、参考までに調剤薬局では23,900円(9:00〜17:00)の日給となっています。
案件は調剤薬局が中心のようです。(実際に登録した方に聞いたところ、病院の案件は少ないとのことでした。)
薬キャリSpotは時給3,000〜4,000円以上とされていますが、
対象エリアが東京・神奈川・千葉・埼玉のみです。
関東以外にお住まいなら、カイテクです。
自分はどちらを使えるか
表にするとこうなります。
| 単発派遣 | 直接雇用アプリ | |
| 契約 | 派遣会社が雇用 | 薬局と直接(日雇) |
| 条件 | あり | なし |
| 後ろ盾 | 派遣会社の担当あり | いない |
| エリア | 会社による | カイテクは全国 薬キャリSpotは関東 |
| 始め方 | 登録して面談 | アプリで完結 |
条件を満たしていれば、どちらも選べます。
満たしていなければ、直接雇用のアプリです。
ひとつだけ違いを挙げるなら、
困ったときに間に入ってくれる人がいるかどうかです。
派遣なら担当者がいます。
アプリは薬局と直接なので、自分で対応することになります。
どちらを選んでも、現場でやることは同じ


入口は2つありますが、着いた先は同じです。
ここから先は、どちらの方法で行っても変わらない話になります。
初日にやることは、あいさつと「流れの確認」だけ
身構えて行きましたが、実際にやったのはこの2つだけでした。
確認しているのは、だいたいこのあたりです。
最初に聞くこと
・今日、自分は何をするのか。どこまで担当するのか
・調剤の流れ。患者さんが入ってきてから、処方箋がどう回るか
・ピッキング → 監査 → 投薬を、どう分担しているか
意外と大事なこと
・調剤印をどこに押すか。変な話ですが、押す場所を細かく決めている薬局もある
・会計は事務さんがするのか、薬剤師がするのか。薬局によって本当に違うので、地味ですが結構なポイント
聞かずに読み取ること
・薬歴をつけるタイミング。聞ければ確認しますが、聞きそびれたらみんなの動きを観察
全部を聞けるわけではありません。
聞けるところは聞いて、あとは周りの動きから読み取る。
実際のところは、そんな感じです。
分からないときは、聞ける人に聞く
初めての薬局では、分からないことが必ず出てきます。
薬の置き場所も、レセコンの操作も、その薬局のルールも知らないからです。



聞くのは迷惑じゃない。間違えるほうが迷惑ですから。
一番やってはいけないのは、分からないまま進めて間違えることです。
服装と持ち物
服装は無難なもので大丈夫です。
私はパンツに襟付きシャツで行きます。
持ち物は、事前に「持ってきてください」と言われたものを必ず持っていくこと。
これだけです。
持ち物リスト
・印鑑
・文房具
・調剤室で履く靴
・ネームプレート(言われたことがあります)
・白衣 ← ただし貸してもらえることも多いので、事前に確認を
薬剤師免許は、当日持参ではなく事前に送っておくことが多いです。
買い揃えるものはほとんどありません。
始めるのにお金がかからないのも、単発のいいところだと思います。
単発で来た薬剤師を、迎える側はどう見ているか


私は月1〜2回よその薬局に入る側ですが、
本業の職場では、単発で来てくれる薬剤師さんを迎える側でもあります。
そちら側から見た話を、正直に書きます。
アプリでも派遣でも、差はありません
先に書いておくと、どちらの経路で来た人かで差を感じたことはありません。
アプリ経由でも派遣経由でも、
来てくれた時点で「今日一緒に働く薬剤師さん」です。
差があるとすれば、それは経路ではなく個人の話でした。
どちらを選ぶか迷っている方は、そこは気にしなくて大丈夫です。
また来てほしいと思うのは、こういう人でした
受け入れる側から見て「またお願いしたい」と思うのは、この2つができる人でした。
1つめは、自己流にこだわらない人。
薬局にはそれぞれのやり方があります。
前の職場ではこうだった、が通じません。
「ここではこうしています」と言われたときに、そのまま受け取れるかどうか。
2つめは、会話のキャッチボールができる人。
分からないことを聞ける。聞かれたことに答えられる。それだけです。



あれ、スキルの話じゃないんだ……



調剤が速いとか、経験年数が長いとか、そういうことは求めていません。
お願いすることが多いのは投薬
実際にお願いすることが多いのは投薬です。
その薬局のやり方を細かく知らなくてもできる仕事だからです。
逆に言えば、来てすぐ在庫の場所やレセコンを覚えてほしい、とは誰も思っていません。
単発をやってみて分かったこと


単発の仕事を実際にやっていく中で、分かったことがいくつかあります。
一番の収穫は、お金ではありませんでした
お小遣いが欲しくて始めたことなので、こう書くと意外かもしれません。
でも、やってみて一番よかったのはお金ではありませんでした。
いろいろな処方と、いろいろな先生に出会えることです。
1回行くたびに、自分の中の引き出しが増えていきます。
薬局のやり方についても同じです。
動線、声のかけ方、患者さんとの距離の取り方。
薬局ごとにクセがあります。
いいなと思ったところは、遠慮なく盗みます。
素敵だなと思う薬剤師さんにも出会います。
うまく回っている薬局の、その回り方も見えます。
それを自分の職場に持ち帰る。



単発をやると、本業のほうがよくなるんです。
関連記事:よその薬局を見て気づいた「うちの当たり前」12個をチェックリストにしました。
しんどかったこと
同じことの裏返しなのですが、毎回違うので、慣れることがありません。
一日ずっと神経を使うので、帰ってくるとぐったりします。
成長になることと、神経がすり減ることは、同じことの表と裏です。
知られていないけれど、意外と自由です
これは意外と知られていない気がするので書いておきます。
・行きたい日だけでいい
・合わなければ、二度と行かなくていい
・今の職場に、何も言わなくていい
そのくらいの距離感で始められます。
初めてが不安な人へ


私が過去に出会った単発の人のほとんどは経験者でした。



それでは、初めて単発の仕事をしてみようかと思っているけれど。やはり難しいのでは?
その人たちにも初めての日はあったはずなんです。
1回目が終われば2回目になって、3回目になって、いつのまにか「慣れている人」になっている。
最初から慣れている人はいません。
だから、初めてであること自体は気にしなくていいと思っています。
受け入れる側が見ているのは経験年数ではありません。
自己流にこだわらないこと。分からないときに聞けること。この2つだけです。
……とはいえ、そう言われても不安なのはよく分かります。
私にも、初めて派遣先に行った日や単発で入った日がありました。
あのとき一番怖かったのは、職場の空気でも人間関係でもありませんでした。
自分の知識不足で、患者さんにしっかり投薬できなかったことです。
自分が関わったことのない診療科でした。
ドキドキしながら投薬していたのを覚えています。
今から見れば、薬剤師としてもまだ未熟だったと思います。
事前に調べられること、調べても分からないこと
科を調べるくらいは簡単です。
求人情報を見れば分かります。
でも、本当に気を使うのはその先でした。
その先生がどんな薬を使うかは、処方箋をもらうまで分からないんです。
ドクターの癖が分からないと、それに合わせた投薬ができません。
この先生はこういう出し方をする、この患者さんにはこう説明されているはず
——長く勤めている薬局なら、そのあたりが分かります。
積み重ねがあるからです。
単発には、それがありません。
ここは事前にどれだけ調べても埋まらない部分です。
だからこそ、分からないことは聞ける人に聞く。
これに尽きます。
単発を始めるなら、どこに登録するか


私の場合は、求人広告で見てすぐに応募しました。
ずっとやってみたかった単発の仕事だったので、
色々なことは考えずに行動していました。
同じように始めるなら、まずは登録からです。
条件を満たしている方(生業収入500万円以上、または世帯500万円以上で自分の割合が50%未満、など)
→ 単発派遣に登録する
単発の派遣を探すなら
条件に当てはまらない方
→ 直接雇用のアプリ(カイテクなど)



登録したからといって、すぐ働かなくても大丈夫です。
まとめ


単発の仕事は、思っていたよりずっと軽い気持ちで始められました。
ここまでの話を、整理しておきます。
・薬剤師が単発で働く方法は2つ。条件によって選べる道が変わります
・どちらを選んでも、現場でやることは同じです
・受け入れる側が見ているのは、腕ではなく「聞けるかどうか」
・月1〜2回でいい。今の職場を辞める必要はありません
旅行代が欲しくて始めたことでしたが、いま一番よかったと思っているのは、
自分の引き出しが増えたことです。
同じ薬局に長くいると、そこのやり方が「薬剤師の仕事のやり方」になっていきます。
月に1日でも外に出てみると、そうじゃなかったと気づきます。



まずはどんな求人があるのか、見てみるところからで十分だと思います。








